MUSES-C=はやぶさ 再突入

はやぶさ”ことMUSES-Cの帰還=再突入を観に、6月11日成田発6月15日早朝着の弾丸旅行でオーストラリアにいってきた。

周辺地図はこちら。私の観測ポイントはタークーラ。


当日朝、クーバーピディにて。物好きな日本人が10名ほど集まった。宇宙ネタでは超有名なM浦氏のblogにも映っていたキャンピングカーに便乗させてもらった。

一日かけて一路タークーラへ。

カメラを持っていかなかったので携帯電話のカメラで撮った、世界一映りの悪い”はやぶさ”の再突入写真*1




はやぶさについては、M浦氏のblogで2006年に知った(日記を読み返すとイトカワ後の行方不明時)。それ以来、帰還するならオーストラリアに行くつもりで密かに準備してきた。


泣ける動画が多々あるように、再突入まではかなり感傷的になっていたが、目のまえにとびこんでくる"はやぶさ"は圧倒的な迫力があり、私のちっぽけな感傷を受け入れる隙など皆無、威風堂々の帰還だった。


ライト兄弟の初飛行からわずか100年程度で惑星間航行の実験に成功してしまった。宇宙の果てから物体を突入させ、大気中の運動も含めて正確に制御して最終的に誤差1km以内*2に着地させる。素人なりに勉強すればするほど、制御技術があまりに高度過ぎて魔法にしかみえない。


現地では機体が失われた悲しみはまったく感じず、遠い未来の技術*3を垣間見てしまったような衝撃に打ちのめされた。


また、数百年後にはきっと惑星間航行が普通になっているんじゃないかと、未来に楽観的な気持ちもわきあがってきた。人類はどんな困難があっても必ず乗り越えていくだろうという期待とともに。


数百年後の子孫は今回の帰還:2010年に行った惑星間航行の最終ステージを原始的なものと思うのだろうが、それでも今回の技術のずっと先にその未来技術がある。


数百年の間には戦争もあるし、文明が滅ぶこともあるかもしれないが、きっと技術は細々とでも引き継がれていくんじゃないかと、久しく忘れていた希望を感じた。

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カプセルの再突入については以下の論文が公表されている:
http://www.isas.jaxa.jp/publications/reportSP/no17/7.PDF
19pのグラフなどを参考に、落下軌道と火の玉がみえる時間=場所の推定など、地味に行っていた。個人的にはもっと西、もしくは雲の関係でニコ動班と同じ地点に行きたかったが、結果的にはタークーラで大正解。
タークーラはJAXAの光学追跡班もいた場所で、目の前を仰角30度くらいでゆっくり左から右に横切っていた。


再突入の詳細なタイムテーブルはこちらで公開された。

"関連blog"

*1:正式な観測隊によるタークーラの動画はこちらで公開されている。この動画や声は私ではないです。念のため。直接MP4ファイルをダウンロードするならHayabusa_GOS3_small.mp4

*2:後から聞いた話によれば、誤差1km以内とはビーコンから予測された落下位置からのズレのようで、事前に狙った落下位置からのズレとは限らない模様。詳細はよくわからない。この誤差についてはもう少し調べてみたい

*3:実際に再突入の大気圏内軌道解析を行った方のメッセージが公開された:回収チームの真ん中で。若いひとがやってるんだなぁ。