再生可能エネルギーの現状

以下の記事を見つけたので。

www.fastcompany.com

私は大学の学部でエネルギー関係を学び*1、大学院で情報系に転科した。なのでエネルギー問題については10代から常に興味を持って情報収集している。

それでも驚異的なのは、この10年のサスティナビリティへの関心の高まりと、再生可能エネルギーの普及の速さだ。(70年代、80年代にもエネルギー問題への世界的関心の高まりはあったが、いずれも経済成長への欲求にかき消された。)

記事のタイトルにもある様に、この10年で太陽光発電のコストは劇的に下がった。これは、直接的には技術革新と量産効果によるものである*2

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コスト1

太陽光発電

以下に、太陽光発電ファームの設置場所一覧を示す。低緯度地域を中心にかなり普及していることがわかる。西欧で唯一遅れているはフランスだが、これは日本と同じ理由による。

www.solarenergymaps.com

日本でも九州は太陽光だけで需要を賄うことができていた。しかし、太陽光ファームの設置場所をみると日本よりも遥かに北(高緯度)にある国でも太陽光を使っていることがわかる。

風力発電

また、ヨーロッパでは風力発電も一般的だ。私が一番最初に驚いたのは、1992年頃のスペインのタリファという都市で、ここは30年以上前から風力発電だけで電力を賄っている。

スペイン最南端、タリファの景色

ここは大西洋から絶えず風が吹き、ウインドサーフィンの国際大会も開かれるほど地理的な恩恵がある都市であるが、それにしてもすごいことをするなあと思っていた。 そして、この10年、ヨーロッパを歩くと至る所に風力発電の風車をみることができる。

https://www.researchgate.net/figure/Map-of-onshore-Wind-farms-in-Europe_fig1_328229021

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イギリス郊外の風力発電

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嵐が丘」の舞台、TopWithinsから遠くに風力発電の歯車を臨む

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ドイツではいたるところで風力発電をみることができる

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音楽の都、ウイーンにも風力発電

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南米エクアドルでも311以降、原発誘致をやめて風力発電に転換

家庭での電力契約

こうした流れで、いまやヨーロッパでは再生可能エネルギーを使うのが一般的になっており、家庭の電力契約も再生可能エネルギーが第一候補になる。 そして、再生可能エネルギーは実際にとても安い。 私はIrelandとZurichで電力契約したが、どちらも再生可能エネルギーで契約している。これは綺麗事だけでなく実際に安いからである。

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Irelandの電力価格
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zurichの典型的な電力契約画面

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*1:学部時代の一般的な熱エネルギーによる発電効率が35%程度で、50%を目指してMHD直接発電を目指すなど四苦八苦していたことを思えば、現在のコバインドサイクル発電で60%程度に到達しているというのは、まさに驚きの一言である。

*2:もちろん間接的には311の影響が非常に大きい。ま、普通の脳味噌を持っているなら技術転換しようとするのが当たり前である