ハプスブルクと言えば神聖ローマ帝国やオーストリア帝国あたりを思い浮かべると思うが、実は発祥地はスイスである。始祖の城:ハプスブルク城はZurichとBaselの中間ややZurich寄りの場所にある。
弱小田舎貴族だったハプスブルク家は1230年に君主ルードルフ1世が(魑魅魍魎たちの駆け引きによる棚ぼたで)神聖ローマ帝国皇帝になったことで一躍歴史の表舞台に躍り出た。
ルードルフ1世は領土を拡大していったが、まだ現在のスイスを拠点としていた。しかしルードルフ1世の後を継いだ長男のアルプレヒト1世は(後にスイスとして独立する)地域に対して圧政を敷いたため、1308年に(現在のスイスの)Aargau州で暗殺されてしまった。これ以降、ハプスブルグ家は戦闘に負け続けてスイスの地盤を徐々に失い、オーストリアに移っていく。一方、スイスの州は徐々に結束して最終的に神聖ローマ帝国から独立を勝ち取る(実質的には1499年、条約的にはヴェストファーレン条約によって1648年)。
ハプルブルク家が本格的に世界に君臨するのは(政略結婚によってスペイン帝国を手に入れた)16世紀以降である。
ちなみにアルプレヒト1世の暗殺は、後にウイリアム・テル伝説のネタ元になっている(テルの息子の頭の上にリンゴを置いて射抜かせたのも、その後テルに殺されたのもハプスブルクの代官という設定)。
現在のハプスブルク城は田舎にポツンと残った廃虚で、コロナの影響でレストランも閉店しており、非常に寂しい状態であった。